マイ、マイ、マイ (ジョニー・ギルの曲)

「マイ、マイ、マイ」
ジョニー・ギルシングル
初出アルバム『ロンリー・ナイト』
リリース
規格 7インチ・レコード12インチ・レコードCDシングル
録音 Elumba Recording Studio(カリフォルニア州ハリウッド
ジャンル R&Bソウルバラードスムーズジャズ
時間
レーベル モータウン・レコード
作詞・作曲 ベイビーフェイス、ダリル・シモンズ
プロデュース L.A.リード(英語版)、ベイビーフェイス、ケビン・ロバーソン (Kayo Roberson)(ディール(英語版))、ダリル・シモンズ
チャート最高順位
ジョニー・ギル シングル 年表
「ラヴ・ユー・ザ・ライト・ウェイ」(Rub You the Right Way)
(1990年)
マイ、マイ、マイ」(My, My, My)
(1990年)
「フェアウェザー・フレンド」(Fairweather Friend)
(1990年)
ミュージックビデオ
My, My, My - YouTube
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マイ、マイ、マイ」(My, My, My)は、ジョニー・ギルのシングル。3rdアルバム『ロンリー・ナイト』(Johnny Gill)からの2枚目のシングルとして1990年に発売された[3][7][8]

ケニー・Gによるサクソフォーンがフィーチャーされ、バック・ボーカルには制作者のベイビーフェイスの実兄らが所属するアフター7(英語版)が担当しているこの楽曲は[9][3]、「ようやく年齢が声に追いついた」と言われた当時22歳録音時のアルバムの中でも特に成功したバラード・ナンバーで[10]ビルボード全米ホット・チャートで10位[1][2][3][7]、R&Bチャートでは2週間連続1位(1990年7月14日付から)を記録し[4][3][7]、アダルト・コンテンポラリー・チャートでも32位となった[5][注釈 1]

ジョニー・ギルの代表曲になった「マイ、マイ、マイ」は、1991年ソウル・トレイン・ミュージック・アワード (1991 Soul Train Music Awards)で「最優秀R&B/ソウル・シングル賞-男性部門」(Best R&B/Soul Single – Male)を受賞したほか[3]、楽曲とともに収録アルバムも第33回グラミー賞にノミネートされ[11]、アルバムはダブル・プラチナディスクに認定された[12]

他のアーティストの楽曲にサンプリングとして使われることもあり[13]2020年リル・モジーのシングル「ブルーベリー・フェイゴ」(Blueberry Faygo)で使用されたことでも再注目された[3]

制作背景

この楽曲は、元々は制作者のベイビーフェイスが、自身のアルバムに収録するつもりであったとも言われ[14]、「元々は自分用の曲として作ったものの、ジョニー・ギルが彼の歌に変えた」と、ベイビーフェイスは過去の『ビルボード』誌のインタビューに答えているという[15]

その一方では違う話もあり、元々はベイビーフェイスがウィスパーズのために書き下ろした曲であったともされ[10][7][8]、ウィスパーズに提供しようとしたが不採用となり、ジョニー・ギルへの提供となったという説もある[10][7][15][8]

ジョニー・ギルは当初、この提供された楽曲があまり好きではなく、「この曲が偉大になるなんて全く思わなかった」と振り返っているが、結果的にはジョニー・ギルが歌うことによって作品として成功し、「これが俺にアイデンティティを与えてくれた曲で、とても感謝している」と雑誌『エボニー』で語っている[15]

ベイビーフェイスは「マイ、マイ、マイ」(My, My, My)という曲名の由来について、ゴスペル・兄弟ユニットのワイナンズ(英語版)マーヴィン・ウィナンズ(英語版)が曲の始めに、「マイ、マイ、マイ、マイ、マイ...」と歌い出す音の響きが心地よく聞えてきて、それがヒントになったと振り返っている[15]。またベイビーフェイスは、ジョニー・ギルについて「私がこれまでに一緒に仕事をした中で最も偉大な歌手」だと述べて、その男性的で情熱的な歌唱を讃えた[16]

評価

そのバリトン・ボイスの卓越した歌唱力で1983年のデビュー時から注目され、1988年からニュー・エディションの新加入メンバーとして活躍したジョニー・ギルが[17][10]、その後モータウン・レコードから再ソロ活動を開始した第一弾アルバム『ロンリー・ナイト』を代表する楽曲の一つとして位置づけられ、「極上のバラッド」と高評価されている[10]

前シングル「ラヴ・ユー・ザ・ライト・ウェイ」(Rub You the Right Way)や「マイ、マイ、マイ」に代表されるヒット・アルバム『ロンリー・ナイト』により、ジョニー・ギルは「ポスト・ルーサー・ヴァンドロス」とも評され、モータウンの再生とともに、甘美な「ロマンス」を再生させて1990年代のメロウ・ナンバーのスタンダードを確立したとも評価されている[10]

R&B評論家の出田圭は、この「マイ、マイ、マイ」を、ベイビーフェイス制作の代表曲トップ10に挙げて、「純情をそのまま曲にしたような」作品と解説している[18]

トラック・リスト

7インチレコード・シングル

US・7インチレコード[19]
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「マイ、マイ、マイ (My, My, My)」(7インチ・エディット 7" Edit)  
2.「マイ、マイ、マイ (My, My, My)」(7インチ・エディット 7" Edit)  

12インチレコード・シングル

US・12インチレコード[20]
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「マイ、マイ、マイ (My, My, My)」(ライヴ・ヴァージョン、エクステンデッド・ヴァージョン Live Version, Extended Version)  
2.「マイ、マイ、マイ (My, My, My)」(ライヴ・ヴァージョン、ラジオ・エディット Live Version, Radio Edit)  
3.「マイ、マイ、マイ (My, My, My)」(ライヴ・ヴァージョン、レコード・ブレイキング・ミックス Live Version, Record Breaking Mix)  

CDシングル

US・CDシングル[21]
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「マイ、マイ、マイ (My, My, My)」(エディテッド・ヴァージョン Edited Version)  
2.「マイ、マイ、マイ (My, My, My)」(LP・ヴァージョン LP Version)  

CDマキシシングル

US・マキシシングル・ライヴ[22]
#タイトル作詞作曲・編曲時間
1.「マイ、マイ、マイ (My, My, My)」(ライヴ・ヴァージョン、エクステンデッド・ミックス Live Version, Extended Mix)  
2.「マイ、マイ、マイ (My, My, My)」(ライヴ・ヴァージョン、ラジオ・エディット Live Version, Radio Edit)  
3.「マイ、マイ、マイ (My, My, My)」(ライヴ・ヴァージョン、レコード・ブレイキング・ミックス Live Version, Record Breaking Mix)  

レコーディング・ミュージシャン

  • ジョニー・ギル – リード・ボーカル、バック・ボーカル
  • ケニー・G – サクソフォーン
  • アフター7(英語版) – バック・ボーカル
  • L.A.リード(英語版) - ドラムス、パーカッション、ミキシング
  • ケビン・ロバーソン (Kayo Roberson)(ディール(英語版)) - ベース
  • ベイビーフェイス – キーボード
  • ジョン・ガス (Jon Gass) – レコーディング・エンジニア、ミキシング・エンジニア
  • ルイス・パジェット (Lewis Padgett) – レコーディング・エンジニア
  • ドンネル・サリバン (Donnell Sullivan) - アシスタント・エンジニア
  • ブライアン・ガードナー(英語版) - マスタリング・エンジニア

チャート記録

週間

チャート(1990) 最高位
アメリカ「ホット100・シングルチャート」(Billboard Hot 100) 10[1][2][3]
アメリカ「アダルト・コンテンポラリー・チャート」(Adult Contemporary) 23[5]
アメリカ「ホットR&B/ヒップホップ・シングルチャート」(Billboard Hot R&B/Hip-Hop Songs) 1[4][3]
イギリス「全英シングルチャート」(UK Singles Chart) 89[6]
オランダ「シングル・トップ100」(Dutch Single Top 100) 37[23]
オランダ「ネーダラントス・トップ40」(Dutch Top 40) 26[24]
ニュージーランド「RIANZ」(Recorded Music NZ) 31[25]

年間

チャート(1990)
アメリカ「年間ビルボード・R&Bチャート」(Billboard Hot R&B/Hip-Hop Songs) 8[26]

リミックス・バージョンのリミキサー

出典は[20][22][21]

  • ライヴ・ヴァージョン、レコード・ブレイキング・ミックス (Live Version, Record Breaking Mix)
    • ティミー・レジスフォート (Timmy Regisford)
  • エディテッド (Edit)
    • マイケル・ヴェルディック (Michael Verdick)

受賞・ノミネート

  • 第33回グラミー賞 (33rd Annual Grammy Awards)
    • 最優秀 最優秀R&B楽曲賞 (Best R&B Song)ノミネート
    • 最優秀 R&Bヴォーカル・パフォーマンス-男性部門 (Best Male R&B Vocal Performance)ノミネート – アルバム『ロンリー・ナイト』

カバー・アーティスト

出典は[27][8] [28]

  • ジェラルド・アルブライト(1990年) - アルバム『Dream Come True』に収録。
  • ウィスパーズ(1997年) - アルバム『Songbook, Vol. 1: The Songs of Babyface』に収録。
  • スムース・ジャズ・オールスターズ (Smooth Jazz All Stars)(2013年) - アルバム『90's Slow Jams, Vol. 2』に収録。
  • モネット・サドラー(英語版)(1998年) - アルバム『Just One Kiss』に収録。

他の楽曲へのサンプリング

出典は[13]

  • ソロモン・チャイルズ (Solomon Childs)「Shawty (Remix)」(2007年) - アルバム『The Art of Making Love & War』に収録。
  • プライズ「Shawty (R&B Remix)」(2007年) - アルバム『The Real Testament』に収録。
  • ヘイリー・スモールズ (Haley Smalls)「Go Low」(2017年) - アルバム『Heart of Gold』に収録。
  • セヴン・ストリーター(英語版) feat. タイ・ダラー・サインFallen」(2017年) - アルバム『Girl Disrupted』に収録。
  • リル・モジーBlueberry Faygo」(2020年) - アルバム『Certified Hitmaker (AVA Leak) deluxe edition』に収録。

他の楽曲へのインターポレイト(補間)

出典は[29]

  • LSG(英語版)Door #1」(1997年) - アルバム『Levert.Sweat.Gill』に収録。
  • R・ケリー feat. キース・マレー(英語版)Home Alone」(1998年) - アルバム『R』に収録。
  • カシミア・キャット(英語版)Adore (Demo)」(2015年) - アルバム『9 (Japanese deluxe edition)』に収録。
  • K・メジャー (K-Major) feat. ジャクイーズ(英語版)Underneath」(2019年) - アルバム『Aquamarine』に収録。
  • ザック・X・テイ (Zac X Tay)「Mine」(2021年)

脚注

[脚注の使い方]

注釈

  1. ^ 「マイ、マイ、マイ」は、アダルト・コンテンポラリーにチャートインしたギルの唯一の楽曲である[5]

出典

  1. ^ a b c Johnny Gill-My, My, My(Billboard Database)
  2. ^ a b c Johnny Gill「Billboard Hot 100」(Billboard)
  3. ^ a b c d e f g h i j Johnny Gill-My, My, My(Genius)
  4. ^ a b c Johnny Gill「Hot R&B/Hip-Hop Songs」(Billboard)
  5. ^ a b c d Johnny Gill「Adult Contemporary」(Billboard)
  6. ^ a b JOHNNY GILL「Singles」(UK Official Charts)
  7. ^ a b c d e ジョニー・ギル 10 BEST TRACKS~ニュー・エディションも含めた名曲10選「My My My」(Billboard Japan)
  8. ^ a b c d ソングブック 1998
  9. ^ 「第3部 ベイビーフェイスを追いかけて――02『The Day』1996(ライナノーツ)」(1996年9月)。松尾 2014, pp. 282–296に所収
  10. ^ a b c d e f 「R&B 1990-1993 アルバム・ガイド――ジョニー・ギル『Johnny Gill』」(出田 2001, p. 43)
  11. ^ 33rd Annual GRAMMY Awards(Recording Academy. GRAMMY AWARDS)
  12. ^ JOHNNY GILL(RIAA)
  13. ^ a b Johnny Gill-My, My, My「Songs That Sample My, My, My」(Genius)
  14. ^ Song Review by Ed Hogan(AllMusic)
  15. ^ a b c d Johnny Gill▶︎▶︎「俺にはこの曲が分からない」ジョニー・ギルは"My My My"が好きじゃなかった。(R&B SOURCE、2021年11月28日号)
  16. ^ Richard Harrington「THE FLIP SIDE OF JOHNNY GILL」(The Washington Post、1990年7月1日)
  17. ^ ホーム 1996
  18. ^ 「R&B Producersガイド――Babyface」(出田 2001, p. 322)
  19. ^ Johnny Gill – My My My(7インチレコード)(discogs)
  20. ^ a b Johnny Gill – My My My(12インチレコード)(discogs)
  21. ^ a b Johnny Gill – My My My(CDシングル)(discogs)
  22. ^ a b Johnny Gill – My My My (Live Mixes)(CDマキシシングル)(discogs)
  23. ^ JOHNNY GILL - MY, MY, MY(Dutch Single Top 100)
  24. ^ Johnny Gill Top 40-hits(Dutch Top 40)
  25. ^ JOHNNY GILL - MY, MY, MY (SONG)(Recorded Music NZ)
  26. ^ YEAR END CHARTS R&B/HIP-HOP SONGS 1990(Billboard)
  27. ^ Johnny Gill-My, My, My「My, My, My Covers」(Genius)
  28. ^ search results for My, My, My(AllMusic)
  29. ^ Johnny Gill-My, My, My「My, My, My Interpolations」「Songs That Interpolate My, My, My」(Genius)

参考資料

関連項目

  • List of number-one R&B singles of 1990 (U.S.)

外部リンク

  • マイ、マイ、マイ - Discogs (発売一覧) (英語)
  • Johnny Gill-My, My, My - Genius(英語版)の歌詞ページ (英語)
  • マイ、マイ、マイ - オールミュージック (英語)
  • マイ、マイ、マイ - IMDb(英語)
  • My, My, My - YouTube
  • (30th Anniversary) Audio HQ Johnny Gill - My, My, My (Ft. After 7 & Kenny G.)( (30th Anniversary) Audio HQ〜) - YouTube
  • Gerald Albright - My, My, My (Official Audio) - YouTube – ジェラルド・アルブライトによるカバー曲
  • The Whispers ༺♥༻ My My My - YouTube – ウィスパーズによるカバー曲
  • Lil Mosey - Blueberry Faygo [Audio] - YouTube - リル・モジーによるサンプリング曲
  • Door #1 - YouTube – LSG(英語版)によるインターポレイト曲
  • Home Alone - YouTube - R・ケリー feat. キース・マレー(英語版)によるインターポレイト曲
  • Cashmere Cat - Adore ft. Ariana Grande (Official Audio) - YouTube - カシミア・キャット(英語版)によるインターポレイト曲
  • K-Major (feat. Jacquees) - Underneath [Prod by Mr. Smith & The Five Points Bakery] - YouTube - K・メジャー feat. ジャクイーズ(英語版)によるインターポレイト曲
  • Zac x Tay - Mine [Official Audio] - YouTube - ザック・X・テイによるインターポレイト曲