ヴァレリー・カーター

ヴァレリー・カーター
Valerie Carter
出生名 Valerie Gail Zakian Carter
生誕 (1953-02-05) 1953年2月5日
アメリカ合衆国フロリダ州ウィンターヘイブン
死没 2017年3月4日(2017-03-04)(64歳没)
アメリカ合衆国フロリダ州セントピーターズバーグ
ジャンル
職業
  • 歌手
  • ソングライター
活動期間 1974年–2017年
レーベル
共同作業者
公式サイト www.valeriecarter.com

ヴァレリー・カーターValerie Gail Zakian Carter、1953年2月5日 – 2017年3月4日)はアメリカの歌手[1]

経歴

カーターは10代の時にコーヒーハウスで歌手としてのキャリアをスタートし、最終的に三人組フォークバンドのハウディ・ムーン(英語版)の一員となった。バンドは1974年にロサンゼルスのトルバドール(英語版)に初出演した。ハウディ・ムーンのアルバムでは、のちにジュディ・コリンズがヒットさせたカーター作の「Cook with Honey」が特筆すべきものであり、次のアルバムをプロデュースすることになるローウェル・ジョージへと結びつけた。ジョージは1979年に他界するまでカーターを指導し、カーターがその後のキャリアを通して協業することになるジャクソン・ブラウンジェームス・テイラーなどに紹介した[2][より良い情報源が必要]

カーターの最初のソロアルバム、『愛はすぐそばに(英語版)』にはモーリス・ホワイト、ローウェル・ジョージ、リンダ・ロンシュタット、ジャクソン・ブラウン、デニース・ウィリアムスなどがゲストとして参加した。このアルバムは好意的な評価を受け、イーグルスのヨーロッパツアーのオープニングアクトをつとめることとなった。この2年後、カーターはセカンドアルバム『ワイルド・チャイルド(英語版)』をリリースし、ジェームス・テイラー、ジャクソン・ブラウン、リンダ・ロンシュタットを始めたとしたさまざまなアーティストとのツアーを開始した。

その後、カーターは1996年にフィービ・スノウライル・ラヴェットエドウィン・マケイン(英語版)、ジェームス・テイラー、リンダ・ロンシュタット、ジャクソン・ブラウンらをゲストに迎えたの3枚目のアルバム『ザ・ウェイ・イット・イズ(英語版)』をリリースした。このアルバムの日本限定版CDには、トム・スノウ(英語版)の曲がボーナストラックとして追加されている。

この2年後以降にEP盤「Find a River」、コンピレーションCD『Vanilla Grits』およびライブアルバム『Midnight Over Honey River』が発売された[注釈 1][4]

その他の業績

カーターは、リンダ・ロンシュタットドン・ヘンリークリストファー・クロスリトル・フィートジャクソン・ブラウンアウトロウズ(英語版)ジェームス・テイラーなどの数多くのアーティストのレコーディングにバックアップボーカリストとして参加している[1]

カーターが作った楽曲「Cook with Honey」は、ジュディ・コリンズの1973年のアルバム『True Stories and Other Dreams』に収録されてヒットした。カーターはジャクソン・ブラウンの1977年のアルバム『孤独なランナー』に収録された「ラヴ・ニーズ・ア・ハート」をブラウンと共作した。また、ブラウンのアルバム『ルッキング・イースト』収録の「イト・イズ・ワン」、「ニーニョ」も共作している。カーターはブラザーズ・ジョンソン(英語版)に楽曲「Deceiver」を提供し、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの1980年のアルバム『フェイセス』に収録された「勝利へのターン」も共作しており[1]、さらにシェールのバンドブラック・ローズ(英語版)に「Never Should've Started」を提供した[5]

1978年、カーターはカナダのアニメーション制作会社ネルバナが製作したハロウィーンスペシャルのアニメ作品「The Devil and Daniel Mouse」のキャラクター、ジャン・マウスの歌唱部分を担当した。カーターはローレル・ラン名義でクレジットされているが、これは当時ローレル・キャニオンに居住していたことにちなんでいる[6]。カーターは、有名なラヴィン・スプーンフルジョン・セバスチャン(英語版)とのデュエットなどの何曲かを特別番組で歌っている[7]。翌1979年、マット・ディロンの映画デビュー作品『レベルポイント(英語版)』で、カーターがカバーした「ウー・チャイルド」が使用された[7]

私生活と死

ビルボード誌1999年12月11日号で、カーターとソニーのテレビ担当重役のセス・カッツの結婚式が1999年11月26日にニュージャージー州モントクレアで執り行われたと報じられた[8]

2009年8月10月に、カーターは薬物所持容疑でフロリダ州セントピーターズバーグで逮捕された[9]。2011年5月25日に法廷の要求をすべて満足した[9]。アメリカのシンガー=ソングライターのジェームス・テイラーは、卒業生全員を代表してカーターの薬物法廷からの卒業セレモニーに出席し祝意を表した[9]

カーターは2017年3月4日に心臓発作で他界し、享年は64だった[10]

遺産

スティーヴ・ウィンウッドがレコーディングした「青空のヴァレリー(英語版)」は、ジャクソン・ブラウンの楽曲「風のような女(英語版)」同様にカーターのことを歌ったものだと伝えられている[11][7]

2018年に、カーターの長年の有人であるキャシー・クラーシュは、カーターの未発表音源を集めた最初の死後発売のアルバム『The Lost Tapes』をプロデュースした。このアルバムにはプリンスと共作した「I Got Over It」などの、キャリアを通じて録音した未発表曲が収められている[12]。クラーシュとヴァレリーの姉妹であるジャン・カーターが結成したインディレーベル、Cowboy Angel Recordsからリリースされた[13]。2022年にレーベルは「The Lost Tapes Vol. 2」をリリースした[14]

2024年、ヴァレリー・カーター財団とファラガー兄弟が協力して、ジェームス・ブラウンによるファラガー兄弟の「Never Get Your Love Behind Me」と「What My Baby Needs Now」を特別版の7インチヴァイナルとして再制作した[15]

ディスコグラフィー

コラボレーション・アルバム

  • Howdy Moon (1974)

スタジオ・アルバム

  • 愛はすぐそばに(英語版)Just a Stone's Throw Away (1977)
  • ワイルド・チャイルド(英語版)Wild Child (1978)
  • ザ・ウェイ・イット・イズ(英語版)The Way It Is (1996; reissued 2006)
  • Find a River (1998; EP)[16]
  • Midnight Over Honey River (2003)[注釈 1][17]
  • The Lost Tapes (2018)[18]
  • Valerie Carter with Yoshiyuki Sahashi – Live in Tokyo, 1994 (2020)[19]
  • The Lost Tapes Vol. 2 (2022)[14]

コンピレーション・アルバム

  • Ooh Child: The Columbia Years (2019)
  • Vanilla Grits (2001)

ゲスト出演

  • カーティス・スタイガース(英語版)Brighter Days (1999)[20]
  • クリストファー・クロス:
    • 『南から来た男』Christopher Cross (1979)
    • 『ウィンドウ』Window (1994)
  • クリフ・デ・ヤング – 『クリフ・デ・ヤング』Cliff DeYoung (1975)
  • グレッグ・プレストピノ – Big Red Nude (1977)
  • グレンダ・グリフィス – Glenda Griffith (1977)
  • グレン・フライ – 『ストレンジ・ウェザー(英語版)Strange Weather (1992)
  • ケニー・ロギンス – 『ディセンバー(英語版)December (1998)
  • ジェームス・テイラー:
    • 『ゴリラ』Gorilla (1975)
    • 『イン・ザ・ポケット』In the Pocket (1976)
    • ニュー・ムーン・シャイン(英語版)New Moon Shine (1991)
    • (LIVE)(英語版)Live (1993)
    • Best Live (1994)
    • アワーグラス(英語版)Hourglass (1997)
    • グレイテスト・ヒッツ Volume 2(英語版)Greatest Hits Volume 2 (2000)
  • ジャクソン・ブラウン:
  • ジャック・ワグナー:
    • Lighting Up the Night (1985)
    • Love Can Take Us All the Way (1986)
  • ジミー・ウェッブ:
    • 『エンジェル・ハート』Angel Heart (1982)
    • Suspending Disbelief (1993)
  • ジミー・バフェットMargaritaville Cafe: Late Night Menu (1993)
  • ジュード・ジョンストン(英語版)Coming of Age (2002)[20]
  • ジュリア・フォーダム – 『哀しみの色彩(いろ)(英語版)Swept (1991)
  • ジュリー・ミラー(英語版):
    • Orphans & Angels (1993)
    • Invisible Girl (1996)
  • ショーン・コルヴィン:
    • 『ファット・シティ』Fat City (1992)
    • "Wish You Were Here" (1996)
  • ニコレット・ラーソン:
    • 愛しのニコレットNicolette (1978)
    • オール・ドレスト・アップ&ノー・プレイス・トゥ・ゴー(英語版)All Dressed Up and No Place to Go (1982)
  • ニール・ダイアモンド:
    • ラヴスケイプ(英語版)Lovescape (1991)
    • 星降る夜に~アップ・オン・ザ・ルーフ(英語版)Up on the Roof: Songs from the Brill Building (1993)
    • Christmas Album, Vol. 2 (1994)
    • In My Lifetime (1996)
  • ハース・マルティネス – Feeling So Fine (2002)
  • ハート(英語版)Vol. II (2007)
  • ビル・クエイトマン(英語版)Just Like You (1979)
  • ブライアン・エリオットBrian Elliot – Brian Elliot (1978)
  • フリーボEnd of the Beginning (1999)
  • ヘンリー・ポール(英語版)Henry Paul (1982)
  • ホイト・アクストンSouthbound (1975)
  • ホルヘ・カルデロン(英語版)City Music (1975)

楽曲提供

脚注

注釈

  1. ^ a b 『Midnight Over Honey River』は公式のアルバムだが、カーターの同意なしにリリースされた[3]

出典

  1. ^ a b c d “Valerie Carter”. AllMusic.com. 2024年5月20日閲覧。
  2. ^ (英語) Howdy Moon – Howdy Moon (1974, Vinyl), (November 9, 1974), https://www.discogs.com/Howdy-Moon-Howdy-Moon/release/9601340 March 16, 2021閲覧。 
  3. ^ Carter v. Halprin (Fla. Cir. 2023). Text
  4. ^ “Valerie Carter | Credits” (英語). AllMusic. March 16, 2021閲覧。
  5. ^ (英語) Black Rose – Black Rose (1980, Vinyl), (November 9, 1980), https://www.discogs.com/Black-Rose-Black-Rose/release/3567371 March 16, 2021閲覧。 
  6. ^ “Look Where the Music Can Take You” (March 10, 2017). 2024年5月21日閲覧。
  7. ^ a b c “Valerie Carter”. IMDb.com. 2024年5月21日閲覧。
  8. ^ “Update:Marriages”. Billboard 111 (50): 94. (December 11, 1999). https://worldradiohistory.com/hd2/IDX-Business/Music/Billboard-Index/IDX/1999/1999-12-11-Billboard-Page-0100.pdf. 
  9. ^ a b c Lane DeGregory (May 26, 2011). “Drug court grads have a friend — James Taylor”. オリジナルのFebruary 28, 2013時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20130228202746/http://www.tampabay.com/news/courts/criminal/drug-court-grads-have-a-friend-8212-james-taylor/1171838 August 29, 2012閲覧。 
  10. ^ Paul Guzzo (March 5, 2017). “Valerie Carter, St. Petersburg recording artist and backup singer, dies at 64”. http://www.tampabay.com/news/valerie-carter-recording-artist-and-backup-singer-of-st-petersburg-dead-at/2315426 March 7, 2017閲覧。 
  11. ^ “Jackson Browne at top of his game at Hanover Theatre show”. Telegram.com. 2024年5月21日閲覧。
  12. ^ “Album: The Lost Tapes”. www.princevault.com. 2024年5月21日閲覧。
  13. ^ “The Voice of an Angel: A Tribute to Valerie Carter, PopMatters”. PopMatters (11 February 2019). 14 February 2024閲覧。
  14. ^ a b (英語) Valerie Carter – The Lost Tapes Vol. 2, https://www.discogs.com/master/2613353-Valerie-Carter-The-Lost-Tapes-Vol2 June 21, 2023閲覧。 
  15. ^ “Valerie Carter Estate and Faragher Brothers join forces bringing retro soul single to life”. KTLA (13 February 2024). 14 February 2024閲覧。
  16. ^ (英語) Valerie Carter – Find A River (1998, CD), (November 9, 1998), https://www.discogs.com/Valerie-Carter-Find-A-River/release/10563821 March 16, 2021閲覧。 
  17. ^ “Valerie Carter - Midnight Over Honey River” (英語). Discogs. March 16, 2021閲覧。
  18. ^ (英語) Valerie Carter – The Lost Tapes (2018, CD), https://www.discogs.com/Valerie-Carter-The-Lost-Tapes/release/13227403 March 16, 2021閲覧。 
  19. ^ (英語) Valerie Carter With Yoshiyuki Sahashi – Live in Tokyo, 1994 (2020, CD), (March 4, 2020), https://www.discogs.com/Valerie-Carter-With-Yoshiyuki-Sahashi-Live-in-Tokyo-1994/release/14914002 March 16, 2021閲覧。 
  20. ^ a b Recording's credits
  21. ^ “The Brothers Johnson – You Keep Me Coming Back / Deceiver (Vinyl)”. Discogs.com (November 9, 1984). March 5, 2017閲覧。

外部リンク

  • 公式ウェブサイト
  • 旧サイトのアーカイブ (2013年9月のアーカイブ)
  • ヴァレリー・カーター - IMDb(英語)
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