『騎士の盃』(きしのさかずき The Cavalier's Cup )は、1953年に発表されたカーター・ディクスン(ディクスン・カー)名義の長編推理小説。ヘンリー・メリヴェール卿もの最後の長編である。
あらすじ
戸締まりをし見張りもいる部屋の、鍵のかかった金庫の中に入れた財宝「騎士の盃」。この警備の厳重な部屋の中に入って盃を持ち出した者がいた。持ち主の妻・ブレイス卿夫人は、夫が夢遊病にかかり、知らずにやったのではないかと警察に相談する。 夫人の訴えと上層部からの圧力で、マスターズ警部はH・M卿を伴い夫妻の邸宅で捜査を開始する。
主な登場人物
- ブレイス卿 - 高価な財宝『騎士の盃』の所有者。夢遊病を疑われている。
- ジニー - ブレイス卿夫人。小柄なアメリカ人で、事件の依頼人。
- マスターズ警部 - 「騎士の盃」消失には、全く興が乗らなかったが、警察上層から電話がかかり、仕方なく捜査に赴く。
- ヘンリー・メリヴェール卿 - 主人公の名探偵。本作が最後の登場となる[1]。
提示される謎
- 不可能犯罪(部屋・見張り・金庫の「三重の密室」状態からの財宝の消失)
特記事項
- 冒頭で、自動車を自ら運転する若い女性の描写がある[2]。
- 作中で、H・M卿はさかんに歌の練習をしている。
書誌情報
- 『騎士の盃』島田 三蔵・訳 早川書房(HPB536 1982年)
- 『騎士の盃』島田 三蔵・訳 早川書房(ハヤカワ・ミステリ文庫 6-10 2004年再版)
脚注
[脚注の使い方]
- ^ 本作以降もカー(ディクスン)は長編推理小説を発表するが、ヘンリー・メリヴェール卿が登場する作品はない。
- ^ 『騎士の盃』(早川書房)解説では「1960年における英国の自動車普及率は、7.3人/台(demographic yearbook 1969)で日本の5倍以上」
|
---|
長編・中編小説 | アンリ・バンコラン・シリーズ | - グラン・ギニョール
- 夜歩く
- 絞首台の謎
- 髑髏城
- 蝋人形館の殺人
- 四つの兇器
|
---|
ギデオン・フェル・シリーズ | |
---|
ヘンリー・メリヴェール・シリーズ | |
---|
歴史ミステリ | - エドマンド・ゴドフリー卿殺害事件
- ニューゲイトの花嫁
- ビロードの悪魔
- 喉切り隊長
- 恐怖は同じ
- 火よ燃えろ!
- ハイチムニー荘の醜聞
- 引き潮の魔女
- ロンドン橋が落ちる
- 深夜の密使
- ヴードゥーの悪魔
- 亡霊たちの真昼
- 死の館の謎
- 血に飢えた悪鬼
|
---|
ノン・シリーズ | |
---|
ジョン・ロードとの合作長編 | |
---|
連作 | |
---|
|
---|
短編集 | カー短編全集 | - 1.不可能犯罪捜査課(マーチ大佐シリーズを含む)
- 2.妖魔の森の家(ギデオン・フェル、ヘンリー・メリヴェール・シリーズを含む)
- 3.パリから来た紳士(マーチ大佐、ギデオン・フェル、ヘンリー・メリヴェール・シリーズを含む)
- 4.幽霊射手
- 5.黒い塔の恐怖
- 6.ヴァンパイアの塔
- グラン・ギニョール(アンリ・バンコラン・シリーズと重複)
|
---|
エイドリアン・コナン・ドイルとの合作短編集 | |
---|
アンソロジー | - 世界短編傑作集5(マーチ大佐シリーズ「見知らぬ部屋の犯罪」を収録)
- 51番目の密室 世界短篇傑作集(ヘンリー・メリヴェール・シリーズ「魔の森の家」を収録)
|
---|
|
---|
その他 | ラジオ・ドラマ集 | |
---|
評伝 | - コナン・ドイル(原題:The Life of Sir Arthur Conan Doyle)
|
---|
|
---|
カテゴリ | |
---|