NS5ブレーン

NS5ブレーン(NS5-brane)とは、超弦理論に存在する5次元的に広がった物体である。

概要

タイプIIA超弦理論、タイプIIB超弦理論は、その低エネルギー有効理論である10次元超重力理論にNS-NS 2-formと呼ばれる2階反対称テンソル場 B μ ν {\displaystyle B_{\mu \nu }} と、R-R n-formと呼ばれる n 階反対称テンソル場 C μ 1 μ n {\displaystyle C_{\mu _{1}\cdots \mu _{n}}} が存在する(タイプIIAでは n は奇数、IIBでは偶数のものが存在)。 p次元的に広がったDブレーン(Dpブレーン)が C μ 1 μ p + 1 {\displaystyle C_{\mu _{1}\cdots \mu _{p+1}}} の電荷を持ち、元々超弦理論の基本要素として入っていた弦(F-stringと呼ぶこともある)が B μ ν {\displaystyle B_{\mu \nu }} の電荷を持つのに対し、 B μ ν {\displaystyle B_{\mu \nu }} 磁荷を持つ物体がNS5ブレーンである[1]。 なお、タイプI超弦理論はNS-NS 2-formが存在せず、NS5ブレーンも存在しない。

Dブレーンは、その微視的振る舞いがブレーンに端点を持つ開弦で記述されるのに対し、NS5ブレーンの微視的振る舞いを記述する理論はわかっていない。

M理論との関係

M理論の低エネルギー有効理論である11次元超重力理論には、3階反対称テンソル C μ ν ρ {\displaystyle C_{\mu \nu \rho }} が存在する。M理論の基本的自由度を考えられている2次元のメンブレーン(M2ブレーンと呼ぶこともある)は、この C μ ν ρ {\displaystyle C_{\mu \nu \rho }} の電荷を持っている。超弦理論における B μ ν {\displaystyle B_{\mu \nu }} と同様に C μ ν ρ {\displaystyle C_{\mu \nu \rho }} の磁荷を持つ物体を考えることができる。これはM5ブレーンと呼ばれる。 M理論を1次元だけコンパクト化すると、タイプIIA超弦理論が得られるが、コンパクト化した次元にM5ブレーンが巻き付いていないものが、タイプIIA超弦理論におけるNS5ブレーンとなる(巻き付いたものはD4ブレーンとなる)。

脚注

  1. ^ C μ 1 μ p + 1 {\displaystyle C_{\mu _{1}\cdots \mu _{p+1}}} の磁荷を持つ物体は、次元の異なるDブレーン(D(6-p)ブレーン)である。

参考文献

  • Joseph Polchinski (2005). String Theory Vol. 2. Cambridge University Press. ISBN 978-0521672276 

関連項目