Smn定理

smn定理 (: smn theorem) もしくはパラメータ定理 (: parameterization theorem) とは、再帰理論における定理であり、プログラミング言語(より一般化すれば、計算可能関数ゲーデル数)の基盤となっている[1][2]。これを最初に証明したのはスティーブン・コール・クリーネである[3]s-m-n定理と表記されることもある。

この定理を実用的に解説すると、あるプログラミング言語と正の整数 mn があるとき、m+n 個の自由変数を持つプログラムのソースコードを操作する特定のアルゴリズムがあることを示している。そのアルゴリズムは、与えられた m 個の値を最初の m 個の自由変数に束縛し、残りの変数を自由変数のままにしておく。

詳細

本定理の基本形は、2引数の関数に適用される。再帰関数のゲーデル数 φ {\displaystyle \varphi } が与えられたとき、次のような性質の2引数の原始再帰関数 s が存在する。すなわち、あらゆる2引数の関数 f のゲーデル数 p について、同じ x と y の組合せでの φ s ( p , x ) ( y ) {\displaystyle \varphi _{s(p,x)}(y)} f ( x , y ) {\displaystyle f(x,y)} が定義され、その組合せにおいて等しい。言い換えれば、次のような外延的等価性が成り立つ。

φ s ( p , x ) = λ y . φ p ( x , y ) {\displaystyle \varphi _{s(p,x)}=\lambda y.\varphi _{p}(x,y)\,}

これを一般化するため、元の数を原始再帰関数で引き出せるように、n 個の数を1つの数に符号化する方法を採用する。例えば、それらの数のビットをインターリーブするといった符号化が考えられる。すると任意の正の数 mn について、m+1 個の引数をとる原始再帰関数 s n m {\displaystyle s_{n}^{m}} が存在し、次のように振舞う。すなわち、あらゆる m+n 引数の関数のゲーデル数 p について、

φ s n m ( p , x 1 , , x m ) = λ y 1 , , y n . φ p ( x 1 , , x m , y 1 , , y n ) {\displaystyle \varphi _{s_{n}^{m}(p,x_{1},\dots ,x_{m})}=\lambda y_{1},\dots ,y_{n}.\varphi _{p}(x_{1},\dots ,x_{m},y_{1},\dots ,y_{n})\,}

となる。 s 1 1 {\displaystyle s_{1}^{1}} は、関数 s そのものである。

以下のLISPのコードは、s11 を実装したものである。

(defun s11 (f x)
  (list 'lambda '(y) (list f x 'y))

例えば、(s11 '(lambda (x y) (+ x y)) 3) を評価すると (lambda (y) ((lambda (x y) (+ x y)) 3 y)) になる。

関連項目

脚注

  1. ^ Soare, R. (1987年). Recursively enumerable sets and degrees. Perspectives in Mathematical Logic. Springer-Verlag. ISBN 3-540-15299-7 
  2. ^ Rogers, H. (1987年) [1967年]. The Theory of Recursive Functions and Effective Computability. First MIT press paperback edition. ISBN 0-262-68052-1 
  3. ^ Kleene, S. C. (1943年). “General recursive functions of natural numbers”. Mathematische Annalen 53: 727–742. 

参考文献

  • Odifreddi, P. (1999年). Classical Recursion Theory. North-Holland. ISBN 0-444-87295-7 

外部リンク

  • Weisstein, Eric W. "Kleene's s-m-n Theorem". mathworld.wolfram.com (英語).